目次: オーディオとルーティング

対象バージョン: 2026.43.1

Audio

オーディオとルーティング

CueFlow はネイティブオーディオエンジンでマルチチャンネル出力に対応します。各トラック、クリック、カウント、LTC を物理出力チャンネルへ自由に割り当てられます。

デバイスとマルチチャンネル

設定の「デバイスとタイムコード」でオーディオデバイス、サンプルレート、出力チャンネル数を選択します。マルチチャンネルデバイスは実際の最大チャンネル数(例: 16ch)が検出され、出力チャンネル設定で選択できます。保存時のデバイスが現在の環境に無い場合は、自動的に現在の既定デバイスが選択され、再生に使用されます。現在のデバイスに存在しない出力チャンネルへ送っている音は、その端末では無音になります。プロジェクトに保存されたデバイス名やルーティングは変更されないため、元の I/O を接続し直すと同じ設定で復帰します。マルチチャンネル出力・ディレイ・EQ はネイティブエンジンで有効です。ネイティブエンジンが使えない場合はステレオ再生に切り替わります。マルチチャンネル出力とタイムコード同期は Pro 以上、または有効な組織の編集シートで利用できます(Free は 2ch・オーディオ 2 トラックまで)。

オーディオデバイス設定。接続中のデバイスと実チャンネル数が表示されます。
オーディオデバイス設定。接続中のデバイスと実チャンネル数が表示されます。

トラックに録音する

REC の右クリックで開く録音入力設定
REC の右クリックで入力デバイス・モノ/ステレオ・入力チャンネルを設定します。
  1. 録音先のオーディオトラックの REC を右クリックし、入力デバイス、モノ/ステレオ、入力チャンネルを選びます。REC を押して録音待機にすると、トラックのメーターが入力レベルを示します。Mac では初回にマイク使用の許可が必要です。
  2. トランスポートの録音ボタン(●、Shift+R)をオンにして再生します。再生中にオンにするとその位置からパンチインし、もう一度押すと再生を続けたままパンチアウトします。
  3. 停止または一時停止でテイクを確定します。音声はプロジェクトの Audio フォルダに保存され、録音した位置にクリップが置かれます。Esc はテイクを破棄します。30 秒を超えた場合は、録音を止めてから破棄の確認が出ます。
  • 録音できる条件 — 一度に 1 トラック、曲のネイティブオーディオ再生中に録音できます。Slow Mode、タイムコード追従、Web Audio での再生中は使えません。曲が切り替わるとテイクは終わり、次の曲で録音は再開しません。1 テイクは最長 2 時間で、0.25 秒未満は保存しません。
  • モニターと位置補正 — CueFlow は入力音をモニターへ返しません。オーディオインターフェイスのダイレクトモニターを使います。入出力の遅延は配置時に自動補正されます。調整が必要なら、設定 → デバイスとタイムコード → 録音で入力デバイスごとのオフセットを指定します(遅く置かれる場合はマイナス、早い場合はプラス)。
  • 保存と重なり — 入力設定と録音オフセットはこの PC だけに保存されます。録音を既存のクリップに重ねると、その範囲はトリムされます。元音声は消えず、配置は「元に戻す」で戻せます。入出力が別デバイスの場合、長いテイクではクロックの違いによるずれが生じる場合があります。

ボーカル/インストを分離する

  1. 音声クリップを右クリック →「ボーカル/インストを分離…」を選びます。Pro 以上の機能で、この PC 上で処理します。初回はダイアログでサイズ・保存先・ライセンスを確認し、分離モデル(約 80 MB)をダウンロードします。
  2. Vocal / Inst の配置先を確認します。同名トラックへの割り当てが提案され、ない場合は新規トラックになります。既存の音声やトラック数の上限で確認が必要な場合は、配置先を選び直してから開始します。
  3. 処理が終わると、元の位置・トリム・フェードを保った Vocal / Inst のクリップが置かれます。元クリップは既定でミュートされます。ファイルは「元のファイル名 (Vocal).wav」「元のファイル名 (Inst).wav」の形で保存され、配置は 1 回の取り消しで戻せます。

Windows は対応 GPU(DirectML)を優先し、使えなければ CPU、Apple シリコンの Mac は CPU で処理します。Intel Mac では使えません。既存トラックへの配置では、重なりをクロスフェードまたはトリムで処理し、完全に隠れるクリップの上書きなどは通知します。進捗と残り時間を確認でき、途中でキャンセルもできます。

Audio Routing ウィンドウ

ルーティングは独立した Audio Routing ウィンドウで編集します。ヘッダー(狭い場合は「⋯」内)の Audio Routing ボタン、メニューの「表示 → オーディオルーティング」、または ⌘/Ctrl+Shift+R で開きます。ウィンドウは 2 つのタブを持ちます。

  • ノードエディタ — ソース(各オーディオトラック / Master / Click / Count / LTC)から出力チャンネルへドラッグで接続するグラフ表示です。信号の流れを視覚的に確認できます。
  • マトリクス — 同じルーティングを格子(グリッド)で編集するタブです。セルをクリックすると、そのソースの Left / Right / Mono の振り分けが切り替わり、1 つのソースを複数の出力へ同時に送れます。バスを入力ソースとして選択する「バスチェイン(バス → バス)」にも対応します。

出力ごとのディレイと EQ

各出力には、スピーカー位置の補正に使えるディレイ(10ms 刻み)と、グラフィカルな 3 バンド EQ、コンプレッサーを掛けられます。マトリクスタブでは出力ごとのフレーム単位の遅延 / 先行も指定できます。

EQ とコンプレッサー

各出力ノードの EQ / Comp ボタンから、3 バンド EQ とコンプレッサーを編集できます。会場や卓に合わせた音作り・保護を、CueFlow の中だけで完結できます。

  • 3 バンド EQ — Low / Mid / High の 3 バンドをレスポンスカーブを見ながら調整します。「Presence」などのプリセットからすばやく当たりを付けられます。
  • コンプレッサー — THR(スレッショルド)/ RAT(レシオ)/ MK(メイクアップゲイン)/ ATK(アタック)/ REL(リリース)をノブで設定します。クリックや 2mix のレベルを揃え、突発的なピークを抑えます。

クリックとカウントのルーティング

Beat Click(クリック音)と Count(カウント音声)は独立したソースです。AI 取り込みなどで追加した Metronome 音源は通常のオーディオトラックとして割り当てます。演者モニターにだけクリックを送る、PA には 2mix だけを送る、といった現場の定番ルーティングを組めます。

タイムコード入出力

タイムコードの送信・受信は、タイムライン上の「タイムコードトラック」を選択してインスペクターで設定します。LTC はオーディオ信号として任意の出力チャンネルへ送出でき、Art-Net Timecode の送出、LTC / MTC / Art-Net の受信と追従にも対応します。LTC の出力チャンネル指定は、Output 1 の簡易設定または Audio Routing ウィンドウで行います。

  • フレームレート — 24 / 25 / 29.97 / 30 に対応。ドロップフレーム(29.97df)カウントもサポートします。
  • 送出設定 — タイムコードトラックで LTC Output / Art-Net Timecode Output をオンにします。LTC は出力レベル、Solo、Output 1 / Audio Routing を同じパネルで確認できます。
  • MTC 送信 — 設定 → デバイスとタイムコードの「MTC送信」で有効にし、出力ポートを選びます。ポートの指定がなければこの端末のグローバル MIDI 出力を使います。
  • 受信プロトコル — LTC Audio / MTC MIDI / Art-Net を排他的に選びます。受信ステータス、検出フォーマット、LTC 入力デバイスとチャンネル別レベルメーターも同じインスペクターで確認できます。
  • 追従モード — Monitor / Freewheel / Chase Stop から選択します。チェイス時は受信オフセット、フレーム許容幅、最小無反応幅を調整でき、入力 TC に対応する曲・位置へ移動します。ロック中の小さなズレは、急なジャンプではなく連続的な再生速度補正で追従します。
  • 二重出力の防止 — ネイティブエンジン再生中はフォールバック側の LTC 生成を自動停止し、二重出力を防ぎます。
タイムコードトラックのインスペクター。送信(LTC / Art-Net)と受信を同じ場所から有効化し、必要な項目だけを展開して確認します。
タイムコードトラックのインスペクター。送信(LTC / Art-Net)と受信を同じ場所から有効化し、必要な項目だけを展開して確認します。

送信: LTC / Art-Net

送信側では、LTC Output と Art-Net Timecode Output を個別にオンにできます。オンになっている出力は黄色で強調され、LTC は出力チャンネル、Audio Routing、出力レベル、Solo を同じパネルで調整できます。Art-Net はブロードキャスト送信、ポート、個別送信先を設定します。「曲間タイムコード連続」は既定でオンで、連続する曲の自動再生では LTC / MTC / Art-Net が境界でも進み続けます。意図的な曲間やタイムコード対象外の項目をまたぐ場合は、ショーに設定された正しい時刻へ移動します。シーク時も送出 TC は移動先へ変わります。マスター音量/ミュートで LTC は止まらないため、LTC 自体のオン/オフと出力レベルで操作してください。

受信: LTC Audio / MTC MIDI / Art-Net

受信側は LTC Audio / MTC MIDI / Art-Net から 1 つだけを選ぶ排他的な設定です。LTC Audio では、受信ステータス、追従モード、入力デバイス/チャンネル、レベル、信号波形と品質、受信オフセット、チェイス補正を確認できます。LTC の入力デバイスとチャンネルは常にこの端末だけの設定で、共同編集相手の設定に置き換わりません。入力を「default」にした場合は実際のデバイス名を確認し、信号を受け取れないときは目的のデバイスを直接選んでください。

チェイス補正

チェイス補正は、ロック中の小さな揺れを吸収しながら、外部クロックへ自然に追従するための設定です。フレーム許容幅はデコード揺れを吸収する範囲、最小無反応幅は補正を始める前に無視する幅です。実効しきい値を超えるズレは、可能な範囲では連続的な再生速度補正で追い込み、大きく外れた場合だけ再同期します。受信オフセットと補正の数値は Enter で確定したときだけ反映され、ドラッグやホイールでは変わりません。同じ値の再適用は再同期ボタンで行います。ドリフト表示で現在のずれと補正の状態を確認できます。

複数ショーをタイムコードで追従する

受信 TC が現在のショーの範囲内にある間は、そのショーのまま追従します。範囲は最初のブロックから最後のブロックと約 10 秒の余白まで(余白中に別ショーが始まる場合はそこまで)です。範囲外で別のショーに一致すると、短い確認の後にショー一覧で先にある該当ショーへ切り替わります。同じ TC 範囲を複数ショーで使っている場合は、現在のショーから自動で切り替わりません。

自動切り替えを使わない場合は、タイムコードインスペクターの「タイムコードの追従でショーを自動で切り替えない」をオンにします。この設定は端末ごとです。範囲外の TC は「セットリストに無い」として扱われます。

受信と送出を確認する

  • 送出側とプロジェクトのフレームレート、29.97 の DF/NDF を揃えます。入力とプロジェクトの不一致が続くと警告が表示されます。
  • LTC はレベルだけでなく信号波形・ジッター・エラー率も確認します。「デバイス未選択」なら入力を指定し、送出ルートの赤い警告なら出力先とデバイスを確認します。
  • 送出を同じ PC の入力へ戻していると、その信号で再生位置が動きます。意図した追従元へ接続されていることを確認します。
  • TC の入出力やルートは再生中にも変更でき、即時に反映されます。受信オフセットと補正の数値だけは Enter による確定が必要です。

音が出ない・Web Audio と表示されるとき

  • 音源と出力を確認 — まず素材がローカルにあるか、クリップが「オーディオ未リンク」になっていないか、Mute / Solo と出力先を確認します。存在しないチャンネルへ割り当てた音は、その PC では鳴りません。
  • 簡易エンジンから戻す — ネイティブ音声が使えない場合は Web Audio でのステレオ再生に切り替わり、ヘッダーの TC 横に表示されます。ネイティブの出力ルーティングは無効です。「再試行」、停止してから再生、または出力デバイスの変更で復帰を試みます。切り替えを繰り返した直後は、再試行までの待ち時間が表示されます。
  • 診断を保存 — 設定 → デバイスとタイムコード →「オーディオ安定性」で状態と切り替え理由を確認し、問題の直後に「安定性診断を保存」を押します。診断は端末内に保存され、バックグラウンドでは送信されません。アプリ内からサポートへ問い合わせると、直近の診断の要約が添付されます。詳細ファイルは必要に応じて添付してください。

注意

PANIC ボタン(⇧Esc)はタイムコード入出力を強制的に無効化し、その状態を保存します。誤操作後に意図せず TC が再開しないための仕様です。再度使うにはタイムコードトラックのインスペクターで必要な入出力を有効化し、MTC 送信は設定 → デバイスとタイムコードで有効化してください。また Slow Mode 中もタイムコード入出力は自動停止します。

ヒント

現場では「LTC とクリックを PA 用の 2mix とは別の物理チャンネルに分ける」構成が定番です。マトリクスタブを使うと、ソースごとの出力先が一覧で確認でき、仕込み時のチェックが速くなります。受信設定を確認したいときは、タイムライン上のタイムコードトラックを選択してインスペクターを開きます。